モン無釉炻器の中でも特徴のある文様を持つ一群があります。それは貼付文を付ける『先端がとがった堅い唐草貼花文の垂飾り帯を頸に付けている炻器』の類で、シィー・サッチャナーライ窯群61号窯址に出土写真があります(注1)。それはおそらく富山市佐藤記念美術館図録の「貼付文多耳壺・13~14世紀」(注2)や陶磁体系47の「貼花文壺・14世紀」(注3)とよく似た文様、ほぼ同じスタイルの壺ではないかと思います。小型の壺としては、町田市立博物館の「焼締貼花文壺・14~16世紀」(注4)の例があります。この貼花文様がどこから来たものか、今一つ具体的な例が見られないのが残念ですが、富山市佐藤記念美術館図録の「黒褐釉盤口貼花文瓶・11~13世紀」(注5)やクメール陶器―特に褐釉貼花文盤口瓶・10~12世紀(注6)などの影響を受けて発展させたものと思われます。また、貼付文だけを見ると、バンコク国立博物館のタワラワディー期の炻器もありますが、こちらは6~9世紀と少し古く、系統立てて文様を追うことは難しいと思います(注7)。⇒アユタヤ川揚がり出土の焼締貼花文壺です。推定口径9.2cm、器高12.8㎝、底径5.5㎝で、口縁部から頚部にかけての器厚0.5㎝です。頚部に縦幅2.5㎝、横幅3.0㎝程の貼花文を7単位廻らすだけの質素な小型の壺で、底部は縁に返りの付くベタ底で、底面は回転糸切り後、全面に簡単なナデを施しています。14~15世紀頃。⇒こちらの焼締貼花壺のご紹介は、次回乞ご期待。※国内でも、この貼花文様が出土したら要注意ですネ。なんか、縄文時代中期の「蕨手文」、畿内第Ⅰ様式の「双頭渦(か)文」とか、絵唐津の「ぐりぐり文」とかを思い出してしまいました。あ、オタクでスミマセンデチュ。
注1 : 世界陶磁全集16 南海 1984 Fig114写真図版参考
注2 : 富山県佐藤記念美術館 2002 東南アジアの古陶磁(8) 写真図版10参考
注3 : 矢部良明 1978 「陶磁体系47 タイ ベトナムの陶磁」 指図17参考
注4 : 町田市立博物館 2008 「アジアを慈しむ」展示図録 写真図版107参考
注5 : 富山市美術館 1997 「東南アジア古陶磁展(Ⅳ) 展示図録36参考
注6 : 町田市立博物館 1988 「南海の焼きもの」展示図録 写真図版115参考
注7 : 国立バンコク博物館 「THAI MINOR ARTS」図録 写真図版55頁参考






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